マンガは日本発のサブカルチャーとして海外で広く受容されているが、その受容のされ方が具体的に分析されているとは言い難い。「オタク」文化との関わりから、男性の受容が先行していたマンガの場合、「少女マンガ」がアメリカの少女文化にどのような影響を与えつつあるのかという視点から、「クール・ジャパン」現象を考察している。本稿では、特に、アメリカにおける「少女マンガ」受容に大きく貢献したShojo Beat の誌面構成を詳細に分析し、「少女マンガ」を描きたいという少女たちの欲望を、どのように喚起・育成してきたか検証している。さらに、「少女マンガを描く」女子を主人公に据えたアメリカの少女マンガDramaconの分析と、マンガを描くNYの高校生たちの活動を追ったエスノグラフィーManga Highの分析を通して、虚構と現実の交錯する場所で、「少女マンガを描くこと=日常生活を生き抜く術」となっているアメリカの少女文化の新しい局面を論述している。 掲載頁pp.45-76