ジョセフ=コーネルの作品と日本の弁当に、作り手の受け手に対する愛情の表出という点で、共通の美的表現がみられることを論じた。コーネルの作品の一部には、弟など親しい人、敬愛する人への思いやりを表すという動機がしばしば見出される。一方、日本の弁当、特に家庭において作られるものには、作り手が家族への愛情を素材の選択や配置にまで込め、その結果、ただ食欲を満たすものという基本的な機能を超え、審美的に高いレベルに到達しているものも多く見られる。愛するものへの深い情愛を、身近にある素材を使い、巧みに表現する技と精神において、コーネルの作品と日本の弁当には、相通ずるものがある。p. 28~33