Virginia Woolf のRoom of One's Own をめぐる批評を比較し、そこから浮かび上がる原作の重層的構造を再度別の角度から検証した。作品の形式としては、女子大生へのlectureに加筆したものといえるが、その真の価値はむしろ表面的なメッセージに隠された作者の表現技法にあるといえる。Woolfは、一見して関連のない事物の描写とそれをめぐる感情の表出をつなぎあわせることで、新しいnarrative のジャンルを確立すると共に、読むことの過程を通して読者を新たな目覚めに導いている。p. 71~76