James Joyce 著"A Portrait of the Artist as a Young Man" に表れた道徳の意味するものとその表現の主観性を考察した。この作品において、Joyceは、少年から青年へと成長する主人公の目を通して、大人たちの示す行動とそこに意図された「権威」に疑問をなげかける。主人公が、幼い頃当然のこととして受け止めていた司祭や親の「道徳的」行為が、次第に偽善に満ちたものとして彼の眼に移るようになっていく過程を追うことで、読者が否応無く自身の道徳性と向き合わされていく、作品の巧みな展開に光をあてた。 p. 240~245