本研究は、ヤングファッションにおけるクラスターの “らしさ”の表現について、デザインの視点で分析することを目的とする。リアルクローズ市場において属性が曖昧になったとされている点についても検証する。研究方法は、原宿・渋谷ファッションから想起する用語の分析とそれぞれのエリアのストリートファッションスナップ画像の評価分析の2つの方法を用いた。分析結果は、原宿ファッションは、2000年代に入り海外にも急速に認知されてきたkawaiiファッションと店舗展開が多い古着のイメージが強い。本調査で導き出した「原宿ファッション」の用語は、個性的で派手、色はカラフルなどと原宿系kawaiiファッションの研究で明らかになっているスタイル・デザインの特徴と一致している。一方、渋谷ファッションは、彼女たちが生まれた頃である1990年代後半の『SHIBUYA109』を拠点としたいわゆる健康的なセクシーさを想起するギャル系ファッションのイメージが基盤になっている。次に、本調査からみる“らしさ”のデザイン表現については、原宿ファッションは、組み合わせたアイテムのそれぞれについて、色・素材/柄・形のいずれかが独創的で派手、または全てにおいて斬新なデザインである。一方渋谷ファッションは、1990年代のギャル系ファッションのイメージに基づく“らしさ”のデザイン表現がみられた。(宮武 恵子, 大塚 絵美子)