本研究では、対象をヤングレディスマーケットとして、現在主流の様々なテイスト(ブランド)による複数アイテム(コンセプトやテイストに基づくデザイン)を組み合わせたファッションスタイル、いわゆる「ミックス・スタイル」の実態を明らかにすることを目的とする。研究方法は、2つのプロセスで行う。まず、関東圏の女子大学生1100名を対象とした2018年の「ヤングファッションマーケット分析」の記述式アンケート調査の質問項目から、購入するファッションブランドの上位3位までの自由記述のデータを分析し、ミックス・スタイルの概要と特徴を明らかにする。次に、参与観察からファッション意識や価値観が異なる特徴的な被験者6名について、外出した際の全身コーディネートのファッションスタイルをデータ化する。期間は、2019年1月の1ヶ月とし、着用しているアイテムおよび服飾雑貨のブランドを精査する。これらの視点から導き出した調査結果から考察を行う。購入する上位3位までのブランドの自由記述を検討した結果、ブランドのコンセプト・ポジショニングから4つの組み合わせタイプに分類できる。「個性・独自性のあるブランドのみ」「流行の製品を展開する国内ブランドと韓国ブランド」「流行の製品を展開する国内ブランドと安価&ファストファッションブランド」「すべて安価&ファストファッションブランド」の組み合わせである。さらに、トレンドとされているアイテムの取り入れ方には、他の人と被らないことを前提にしながら、4つのタイプでは違いがみられる。一般的に市場に提案されていて売れ筋となっているアイテムとは異なるデザイン性があるアイテムを取り入れている。一部のファンから支持されている韓国ブランドを選ぶなどである。被験者6名のコーディネート分析結果から、ブランドコンセプトが明確なブランドのアイテムを頻繁に取り入れていることが導き出せた。またファッションの志向により、韓国ブランド、ファストファッションブランド、安価なブランドのアイテムの選び方やコーディネートに違いがみられる。本調査結果から、他者との違いや個性を強調しない方向性とファッションに対する意識・消費意欲を依然として高く持っている実態が明らかになった。2019年5月19日,日本女子大学