本研究では,業界環境の変化を踏まえ,日本の今のかわいい・kawaiiファッションを論述することを目的とする.ここまでの先行研究において明らかになったかわいい・kawaiiファッションの包括的な概念を基に, 現在のファッション現象を捉えながら実態を導き出す.本分析結果から,雑誌のコンセプトによる表現の違いはもとより, 微妙なテイストの違いで提案しているスタイルは,消費者の視点からもその違いは伝わっている仮説が示唆された.
また,本研究を通して日本の今の流行現象を鑑みて考察すると,かわいい・kawaiiファッションのクラスターは6つに分類できると推測している.かわいいは, 『sweet』のようなイメージのフェミニン・ガーリー, 『nonno』『CanCam』のようなナチュラル・きれい, 『ViVi』のようなガールズ・カジュアル, 『mini』のようなボーイズ・ストリートの4つのグループである.一方,kawaiiファッションは,先行研究で明らかになっている『tulle』のようなロリータファッションと『FRUiTS』のような原宿系kawaiiファッションである.今後は,被験者を増やして,前述した6つのクラスターの実証を行うことを計画している.同時に,かわいい・kawaiiファッションの類型化を課題としたい. (宮武 恵子,Peeraya Sripian,大倉 典子)