本研究では,前研究で示唆したかわいい・kawaiiファッションの複数のテイストの詳細を明らかにすることを目的とする。ファッション業界では,雑誌毎にテイスト,言い換えると”らしい”スタイルの表現は異なっているとされている.本研究では,消費者視点で分析することにより,あいまいなかわいい・kawaiiファッション感性の特徴および属性を導き出す.分析結果から, kawaiiファッション感性とかわいいファッション感性について被験者の印象評価をまとめる.kawaiiファッション感性は,『tulle』で提案しているロリータ・ファッションは,かわいいとされている色・素材・形(シルエットやディテール)をふんだんに取り入れたデザインであるためかわいいとフェミニンの印象が強い。一方, 『FRUiTS』の個性的で奇抜なスタイルの原宿系kawaiiファッションは,かわいいの印象評価がばらける傾向で、フェミニンさはあまり感じない.かわいいファッション感性は,マスキュリン・ボーイズが強い『mini』のような“ボーイズ・ストリート“,フェミニン・ガーリーが強い『sweet』『ViVi』のような“ガーリー・カジュアル”,その中間的な位置の『nonno』『CanCam』のような“ナチュラル・きれい”の 3つに分類できる.これらは,ファッション雑誌が提示しているコンセプトと一致していることはもとより、消費者の印象評価からも“らしさ”の表現が伝わっていると言える.
(宮武 恵子,Peeraya Sripian ,大倉 典子)