本稿では, 先行研究でで行ったピンク色のスタイリング分析データをデザイン要素と照らし合せて検討し,前稿で課題となっているかわいい・kawaiiファッション感性の特徴および属性を明らかにすることを目的とした.前稿データの21スタイルについて, PCCS色彩集計ソフトを使い,色データを整え,14︎スタイルを分析対象とする.それぞれのアイテムの形はシルエット(タイト・プレーン・ルーズなど)とディテール,素材は風合いと模様,また画像から読み取れる特徴をデータ化する.さらに,デザイナーがデザインを発想する際に核となるファッションイメージ用語とテイストレベルを加えた. 本分析結果から,エレガント,フェミニン,ガーリーなどの女性らしさを表す感性と,マニッシュ,ボーイズなどの男性を表す感性はかわいさを感じる上で核たる軸になっていることは明らかであった.また,少女らしさや少年らしさを示す幼さを形やディテールで表現することでかわいさを感じる評価につながることが示唆された.さらに,女性の身体を強調するタイトなシルエット,一見セクシーに見えるが,大きなリボンをつけるなどのディテールを誇張することでかわいさの評価につながると推察できる.一方,控えめなデザイン(色・形・素材/模様)表現は,かわいいと感じる印象が低くなると考えられる.流行にとらわれない個性的なスタイルは,フリルやリボンをふんだんにつけるロリータファッションは,人形のような幼さを感じるためかわいい評価が高いと理解できる.ロリータファッションよりさらに個性的な原宿系kawaiiファッションは,かわいさを感じる印象にばらつきがあると考えられる.(宮武 恵子,Peeraya Sripian,大倉 典子)