「Vogue Pattern Book」を手掛かりに、1950年代のファッション・デザインを取り上げた前稿に引き続き、本稿では、1960年代のファッション・デザインについて考察をしている。調査は共立女子学園の図書館所蔵「Vogue Pattern Book」、1959-60年12-1月号から1969-－70年12-1月までの52冊を対象とした。研究方法は、60年代の時代性、環境の変化、当時の女性たちが憧れていた女性像等から読み取れるファッション・デザインの特徴について先行研究・文献から抽出し、それを基に「Vogue Pattern Book」と照らし合わせながらファッション・デザインの情報・記号の特異性をデータ化して構成の特徴について考察した。結果については大きく三つのことが言えた。一つ目は、60年代の特徴的な服飾表現であるミニ・スカート、ミニ・ワンピース、パンツ/パンタロンや柄を取り入れて型紙を販売していたことである。二つ目は、人々のライフスタイルを基にして構成されていたということである。三つ目は、流行を先取りしている「Vogue」とは異なり流行の傾向を消化した実用的な内容であったのではないかという推論である。ワンピースの着丈とミニ・スカートの丈の検証がその事例となった。
