アパレル産業界においても、取り組みが進められているアップサイクルに着目し、郡内産地の「捨て耳」を用いた製品開発のために、産地の成り立ちや実情を調査した。さらに、機業場にヒヤリング調査を実施して、実態を導き出し、分析した。その結果、取り扱っている素材は、細番手で高品質、種類が豊富などの特徴を明らかにした。これらを活かし、製品バリエーションが広がる可能性があることも踏まえて製品開発を行った。まず、企画書を作成して産地の特性を活かした製品を造形した。そして、市場展
開を念頭において2つのイベントに参加した。イベントにおいては、消費者視点のアンケート調査を行い、さらに本学学生にも同様の調査を行った。その結果、取り組みや製品デザインは高評価を得た。一方、持続可能性をコンセプトとしたデザイン性がある製品への価値は認めてもらったが、価格に結びつかない実態が分かった。同時に、コンセプト及び製品展開するために山梨県南都留郡富士河口湖町の店舗やWeb販売なども始まった。今後も、著者ら提供側は、デザインの完成度を高めていくことはもとより、コンセプトの価値を伝えるために行動することを今後の課題とする。時間がかかると想像するが、イベントやSNSを使い、価値伝達の方法を検討していく。(pp.37 - 52)
(宮武 恵子、加藤 裕子)