本研究では「Vogue Pattern Book」を手掛かりに、1950年代の時代を写し出しているファッション・デザインを考察することを目的とする。調査は共立女子学園の図書館所蔵「Vogue Pattern Book」、1952年から1959年までの47冊を対象とする。分析結果は、ファッション誌「Vogue」は、人々がパリの流行を知るための情報源として構成されていて、その情報を基に自分好みの衣服を身に着ける手段として「Vogue Pattern Book」のようなパターン・ブックを活用していたと推測できる。パリの流行はファッション誌等の媒体を通して人々の手にも届くようになり、最先端のコレクション作品の表現が広く伝えられていったと考えられる。また、発表されたコレクションの中には流行の基点となるコレクションがあるのではないかと推測している。1950年代を代表するデザイナーであるクリスチャン・ディオールの作品と「Vogue Pattern Book」の資料を比較して考察した結果、コレクションで発表された作品の影響を強く受けていることが読み取れた。またそのシーズンだけでは無く、継続して影響を受けていることも理解できた。特にコロール・ラインに代表されるシルエットについては顕著な事例となった。