本研究は、2011年より実地してきたファストファッションの製品設計・製造の実態を考察してきた研究結果を基盤としている。本発表では、2012年8月までの研究結果を基にして、「ZARA」の商品企画とデザインの提案の実態を含めて、デザイン部門の組織編成、役割分担を推論することを目的とした。文献調査及びフィールド調査、ヒヤリング調査から「ZARA」の商品企画を実行する組織とその業務内容を推論した。「コマーシャル」と呼ばれるカントリーマネジャーは各自の担当する国のエリアマネジャーや店舗マネジャー達から市場情報を収集し、在庫管理するのが仕事である。消費者の情報こそが主役でデザイナー達は脇役という概念。デザイナーが作りたいものではなく、消費者がほしいものを作る等、日本では提言されていない概念の基、商品創造・供給が成されている。また在庫管理の判断基準として「ZARA」独自の解釈で「定量調査」「定性調査」を繰り返し検証していることも考察できた。