本研究では、ファストファッションの製品設計・製造の実態を明らかにすることを目的とした。研究の方法論として、まずは「ZARA」を基点に「H&M」との対比を含め、分析を行い商品企画のプロセスについてフィールド調査を基に考察した。また、設計及び製造については、「ZARA」「H&M」両ブランドの試料および「ZARA」の商品属性から選択した試料のリバースエンジニアリングを行い、その過程の実態を明らかにしていく。その結果、商品属性「ファッション」については、コレクション・デザイナーの作品をアイディア基点として、店舗展開される同時期に商品を提供し、デザインの方向を発見した際には徹底してそのディテールを反映している実態が明確になった。また、リバースエンジニアリングの結果から、視覚的効果を狙える部分については、デザインを重視している。が、表面的なデザインに表れない部分について、資材や縫製工程において仕様等の簡素化の工夫がなされている実態が理解できた。