本研究では卒業式の袴を学生はどのような基準で選び、そして装うのか。また和服に関する情報入手方法やその媒体、更に日頃の装いとの関係から分析することにより、現代の若い世代が描く和服に対する期待やイメージを具体的に把握し、若者に求められる和服、更には今後求められる和服の在り方へと発展させた考察をすることを目的としている。研究方法として2つの視点で分析していく。一つ目は、2014年3月卒業生を対象とした袴のレンタル用のカタログの『はかま』、『卒業時装』、『Hakama』の3冊を資料として構成・提案の仕方、袴の装いの掲載についてデータ化する。二つ目は、本学学生の分析は、3冊のカタログの提案を比較しながら全体の傾向を分析するとともに日頃の装いと照らし合わせてクラスター分析を行い、袴の装いについてデータ化する。分析を通しての結果・考察は、卒業式という場面を楽しむための日頃の着装と同様のファッションとしての概念で捉えているのはないかと考えられる。換言すると着物・袴は、日頃選択しているアイテムと同様の着装のための品種の一つであり、自身の志向を基にして多種多様な商品の中から選択してコーディネートしている。長年研究している消費者志向、流行、トレンド情報等が重要な基盤となっているファッション市場における商品選択と同じ現象である。