「Vogue Pattern Book」を手掛かりに、1950、1960年代のファッション・デザインを取り上げた前2稿に引き続き、本稿では、1970年代のファッション・デザインについて考察をしている。調査は共立女子学園の図書館所蔵「Vogue Pattern Book」、1969-70年12-1月号から1979年11-12月までの56冊を対象とした。研究方法は、文献から70年代のファッションの視点からみた時代性を60年代後半に派生したとみなされるものが継続する前半と、80年代に属すると考えられるものが姿を現しはじめる後半の2つの視点から時代をとらえた。2つの潮流を基盤として、国・都市別のファッション・デザインの推移を捉え、「Vogue Pattern Book」と照らし合わせながらファッション・デザインの情報・記号の特異性をデータ化して構成の特徴について考察した。結果については大きく三つのことが言えた。一つ目は、70年代の特徴的な服飾表現を「Vogue Pattern Book」から抽出でき、コーディネートが主体になってきた時代性を反映していた。二つ目は、60年代と同様に人々のライフスタイルを基に編集されていることが読み取れた。三つ目は、アメリカがファッションビジネスにおいて先進的な取り組みを始めて、国独自のファッションの表現を確立してきた時代になったことである。