本発表では、袴姿の現状を把握し、従来の袴着装姿との違いからそれが何に起因するのかを考察することを目的とした。従来の女子大生及び女子学生の袴に関する研究は、服装史的視点から袴の変遷を捉えるものが主流であるが、本調査では女子学生の卒業式での袴着装の写真データを資料として実態を分析している。結果は、長着の種類などは現代の卒業式の式服としての定義に合致しているが、過剰に飾り立てすぎる様子は式服としての定義と合致していない。また着付けは資料により、定義される基準が異なるため統一的な見解がないまま、個人の判断に任されている部分が多いことが明らかになった。これらの傾向の多くは、長着の選択から着付けに至るまで本人はもとより家族や友人、レンタル店員、着付けをする人すべてにおいて伝統的な基準や認識が薄れてきているため、このような結果となったのではないかと考えている。よって伝統的認識を共有できる環境を整えていくことが今後の教育現場の課題とした。(田中淑江 長谷川紗織 大塚絵美子 宮武恵子)