女子大学生の卒業式における袴着装について実態を探る目的で、2015年3月に卒業をする学生を対象としたレンタル用のカタログ『袴』(被写体数52)と『卒業時装』(被写体数42)の2誌の袴の装いについてデータ化した。得られたデータは面積が最大の色を抜粋し、「代表色」として出現数を集計した。さらに、「代表色」をトーンと色相に分けて集計した結果も踏まえると以下の傾向がみられた。着物生地の色はトーンではp、vといった高明度、高彩度のものが多く、色相は白や黒の他、赤や黄の暖色系が多くみられた。着物柄の色はトーンではlt、vといった高明度、高彩度のものが多く、色相は白の他、赤や紫が多くみられた。袴生地の色はトーンではdk、dkgといった底明度のものが多く、色相は様々な種類がみられた。袴柄の色はトーンではpやdkが多く、色相は赤が多かった。以上の結果から、着物には暖色系、高明度、高彩度の色が多く、袴には様々な色相の低明度のものが多いことがわかった。着物の色に関しては、先行研究で示されている近年の女子学生が好む着物の色と比較的一致していることが示された。(瀬川かおり 大塚絵美子 田中淑江 長谷川紗織 宮武恵子)