本研究は、現在のアパレル業界を取り巻く環境が変化した実態を踏まえて、これまでの日本学術振興会科学研究における2件の研究成果の総括として、ファッション・ビジネスにおけるデザイン業務のプロセスを示す。研究方法は、これまでの分析結果と海外のファッション・デザインに関する関連文献及びファッション産業関係者へのヒヤリング調査を合わせて、現代におけるファッション・デザインの業務を明らかにする。分析結果は、ビジネス環境が変化して大きく変わったことは、製品開発のスピードが早くなったことと膨大な情報が存在することである。ラグジュアリーブランドのデザイン表現は、そのブランドならではの伝統とデザイナーの感性や個性との相性、時代の方向性の全てが関係していると考えられる。SPAファッション市場を担当するデザイナーは、トレンドを予兆するために膨大なインスピレーションを集約する能力と売れる製品として具現化する感性が必要である。