本研究では、2008年/2012年から関わった日本学術振興会科学研究で取り上げたラグジュアリー・ブランドとファストファッション・ブランドの分析結果を用いて、現在の日本のアパレル・SPAブランドとの類似・相違点を示す。このことにより「なぜ日本のアパレル(ファッション)ブランドは世界に通用しないのか」の課題についても考察した。結果は、日本のアパレル企業におけるSPA確立以前の商品企画は、店頭展開の約半年前に開かれる展示会を基点としていた。時間をかけてブランド独自の製品を開発していた。その時代の製品設計プロセスは、ラグジュアリー・ブランドと類似している。しかしながら、専門職の業務内容の理解、業務領域を乗り越えて関わる姿勢については相違がみられる。一方、現在のアパレル・SPAブランドの業務は、ファストファッション・ブランドの分析から導きだした構造に類似している。これらはSPAの確立に伴って、店頭基点で売れる商品をいかに早く提供することを主にした商品企画であるためと考えられる。