戦後から現在までの日本のストリートファッションの変遷を概観した上で、90年代以降に生じた変化について、16年に及ぶ調査研究をふまえて報告した。つまり、従来的には社会や大人や体制に抗う形で登場してきたストリートファッションが、これまでの文脈とは無関連に享受され、欧米から注目を集める存在と成り得たこと、さらには、コレクションを頂点とするヒエラルキーが崩壊し、その根底に位置されていた消費者であるストリートファッションが参照されるようになるなどの逆転現象が生じており、これが新たなファッションの可能性に繋がる道筋であることを指摘した。