共立女子大学・短期大学総合文化研究所紀要「少女・ファッション・メディア」 の第5章。ファッションにおけるコレクションの誕生から現在までの変遷をたどり、ファッションないしは、ファッションを享受する人々にいかなる影響を与えてきたか、その軌跡を考察した。コレクションの規模や対象を概観すると、㈰19世紀から20世紀前半までの「限られた人々を対象とした小規模なコレクション」から、㈪20世紀半ば以降の「プロを対象とした大規模なコレクション」への変化。さらには、㈫20世紀後半の「一般を対象とした小規模なコレクション」の登場、やがて東京ガールズコレクションにみられる㈬21世紀に入っての「一般を対象とした大規模なコレクション」、そしてストリートファッションなどの等身大の人々の装いにみられるような、㈭「対象となるはずの一般の人々のコレクション化」までの変化を概観した。プレタポルテの登場から約半世紀を迎えた現在、東京ガールズコレクションのような、これまでとは異なるアプローチによるショーが求められるようになったのは時代の必然であり、これまでの経緯をたどると必然と考えることができ、今後、求められるべきは、コレクションで呈示される各ブランドのファッションの新規性にではなく、コレクションというシステムそのものの刷新なのではないだろうかという点を指摘した。p.72-88