著者:八幡茉莉子・渡辺明日香<br>デニムの意味と意義の変容を明らかにするために、ストリートファッションに見られるデニムを題材として、戦後から現在にどのように変化したか考察した。もとは労働者やカウボーイが着用する実用的な服であったが、1950年代のロッカー、1960年代のモッズ、1970年代のヒッピーなど、特定の若者グループが、大人や社会を否定する手段としてデニムを採用する時代もあった。1990年代以降、デニムは年齢や性別にかかわらず誰もが着用するようになり、カジュアルなファッションの一部となった。他方、デニムは、それを身に着けている人々の属性や身分を表す機能が薄れ、着用者の価値観や立ち位置を判断することは困難となった。2015年には、稀に見るデニムブームが生じ、誰もがデニムを着るようになり、人との違いを誇示するためのデニムから、悪目立ちしたくないためのデニムになり、デニムが元々持っていた意味が明らかに変化したことを言及した。