本稿では、ストリートファッションの変遷を概観した上で、1990年代以降に広まりをみせているストリートファッションに関する写真を軸とした作品の代表的なものを紹介し、オルタナティブなファッション・コンテンツが果たしている役割について考察を行った。ここで、①ストリートファッション自らが、アンチ・ファッションという自らの性質を脱ぎ捨ててつつ、これまでの<ファッション>の枠組みを超えた、オルタナティブとしての役割を担っていること、②戦後長きにわたって、欧米を参照してきた日本のファッションが、逆にストリートファッションのレベルで欧米から注目を集める存在と成り得たこと、③ファッションの主導権を握っていたコレクションを頂点とするヒエラルキーとは異なるストリートファッションから、逆に新しい着こなしが生まれ、これが参照されるようになっていることなどの、興味深い逆転現象を指摘した。