原のぶ子氏の寄贈資料をもとに原氏について調査分析を行った。膨大な資料より、実物作品とデ ザイン画の保管整理を先行して行い、これらを調査することによって原氏の生涯とその作品傾向に ついて分析を行った。その結果、原氏はパリ留学から帰国後、教育活動と洋裁文化の啓蒙活動、洋裁学校経営、ファッションショー主催を中心に、教育者であり服飾研究者でありデザイナーとして、 戦後日本の服飾界に多大な功績を残した人物であることが分かった。しかし、ファッション・産業 界の変化の中で既製服ブランドを持つデザイナーにはならず、日本人のもつ和の文化を大切に、西 洋と東洋を独自の表現で融合させた作品を発表し続けた人物であったことが明らかになった。