近年ブルームズベリーグループと音楽文化の関連についての研究書が相次いで出版されている。これを受け、本シンポジウムでは「ブリテン、スマイズのオペラ、フォースター、ウルフ、スペクトラル音楽」をキーワードに、各講師が映像を交え、単に文学テクストと楽曲とを併置するにとどまらない「文学と音楽の新しい読み」を提示することを目指した。浦野はベンジャミン・ブリテンのオペラBilly Buddにおける、ハーマン・メルヴィルの原作からの逸脱を、語り手としての船長ヴィアの記憶の空白、曖昧性という点に注目して読み解き、それをイギリスにおける同性愛解放の機運と結びつけることを試みた。