組織文化の醸成の立場から,医療事故被害者と病院側の認識の食い違いの要因を明らかにすることによって,今後,事故後対応において医療者が留意すべき点についての手がかりを得ることを目的として事例分析を行った.
検討の結果,遺族A氏は事故発生当初,病院への不信感はなかったが,その後の病院の対応によって不信感を増大させていることがわかった.具体的には,①A氏が事故当日に病院に到着したとき,医療スタッフはA氏が患者の急変についてどのような情報を得ているかを十分把握しないまま対応したこと.②A氏がはじめてご遺体と対面するために処置室に入ったとき,医療スタッフは自分たちがどのような意図で何をしているのか十分伝えられなかったこと,などがA氏の不信感につながっている可能性が示唆された.
共同発表者:○中原るり子、山内桂子、佐々木久美子、田口智恵美、杉本こずえ、河合桃代
本人担当部分:研究計画、実施、分析、評価、発表資料の作成、発表