リスクマネジメント・人材育成・組織文化の醸成の立場から,グループインタビューを通して,新卒看護師のインシデントの捉え方やインシデント発生防止に対する効果的な対処法などについて考察し,新卒看護師の支援のあり方について示唆を得ることを目的として研究を実施した.
①参加者が経験したインシデントは「滴下調節ミス」,「転倒」であり,その原因は「過酷な労働環境」であった.②インシデント発生直後は,「落胆」,「自信喪失」,「不安」,「萎縮」を経験していた.③一度落ち込むと「インシデントに向き合えない」,「すぐに気分は変えられない」様子があった.④しかし,「先輩からの励ましによって新しい視点」が得られ,自分の置かれた状況を客観視できるようになったり,「同期のインシデントを読んで他人事ではない」と気を引き締めたりしていた.⑤インシデント発生時の気分を変える方法としては,「ナースステーションを離れる」,「患者さんの側にいく」といったものがあり,「同期と話す」,「愚痴って気分を切り替える」ことも有効な対処法であった.しかし,勤務の都合上なかなか同僚と話す時間が持てず,「どん底までいき這い上がる」,など一人で解決している実態もうかがえた.⑥新卒看護師は周囲のスタッフに「前向きな声かけ」や開放的な雰囲気を求めていることが示唆された.
共同発表者:○杉山優果、中原るり子
本人担当部分:研究計画指導、分析指導、発表資料作成指導、発表指導