安全教育の立場から,模擬的与薬過誤体験後の学習の効果を質的に検討するために,看護学生(50名)の感想をデータベースに内容分析を行なった.
その結果,リスク体験後は時間的切迫や多重課題により焦り(15),緊張(28),戸惑い(14)などの否定的感情が多くなった.また,混乱(35)や,注意不足(23)などが生じ,確認作業が不正確になり失敗(45)が起こったことが示された.この経験が不満(38)や後悔(81),自信の喪失,そして将来への不安(25)につながっていた.しかし,セッション後は失敗の自覚から初めは落ち込んだが,仲間やスーパーバイザーの話しを聞き,落ち着き(7)を取り戻し,安心(5)した.さらに自分のリスク要因にも気づくこと(156)ができ,具体的回避方略(107)も発見できた.現場に出る前に回避方略を獲得できたことをよろこび(52)や将来に意欲(50)がわいたことが示された.
発表者:○中原るり子