医療安全における人材育成の立場から,時間圧力条件下における与薬エラー管理訓練が看護学生の自己効力感や不安に及ぼす影響について実験的に検討した.また与薬エラー管理訓練時の看護学生の認知・情動過程についても質的に検討した.
その結果,与薬に関する失敗体験はたとえそれが模擬的なものであっても自己効力感を低下させることが明らかになった.しかしながら参加者の内省の分析から失敗を自分の課題として受け止め失敗を克服しようと動機づけられていることが示された.引き続き行なわれたセッションでは同じ経験を持つ仲間やファシリテーターの支援を受け,エラーが誘発された要因の分析や対処方略を発見していった結果,最終的に訓練前より自己効力感が高まることが示された.さらにその効果は低自己効力感者の方が高いことが示された.
共著者:中原るり子、小玉正博
本人担当部分:研究計画・実施・評価・論文の執筆