土居健郎により日本人に特徴的とされた「甘え」の心理について検討するため,青年期(中学生,高校生,大学生)の男女を対象として調査を行った。分析の結果,「甘え」の心理には性差があり,意識的なレベルでの「甘え」の欲求は女子の方が高く,年齢があがるにつれて性差が広がることがわかった。女子では,「甘え」の対象が受容的であると予測できる場合には,心理的抵抗はあまり生じず,より本音のレベルで甘えると考えられる。一方,男子では,躾により「甘え」に対する否定的な価値観が内在化されており,「甘え」の心理はより建前に支配されると考察される。共著者:安藤(外山)嘉奈子・高木秀明。