能装束小袖物の用途別にみる寸法と着装との関係
共立女子大学家政学部紀要
第59号
能装束小袖物の形状変遷は筆者の継続研究である。従来の拙稿では能装束小袖物を一括して研究を行ってきた。しかし、今回は能装束小袖物を着装上の分類により分析を行った。その結果、能装束小袖物は江戸後期に生じた着装の変化を境に、舞台装束として形状および寸法を変化させたグループと、着装変化以前の形状、すなわち男性が演じる能は男性の小袖の形状を継承しているグループとに分かれることが明らかとなった。江戸後期から幕末にかけてのこの時期は能装束が確立する重要な時代であることが明らかとなった。