家庭科教育は生活と密接にかかわる教科であるので、社会課題が生まれると学ぶべき内容が増加する。しかし、現状では家庭科教育の授業時間数が減少する傾向を示し、時間の削減対象となるのが「被服製作実習」であり授業が簡易化され、その学習意義は時代と主に変化している。本研究では家庭科教育の実習課題の変遷と社会における裁縫や手芸の持つ意義の変化から、被服製作実習の意義と今後の在り方について考察する。家庭科の被服製作実習の題材は、時間数減少、男女共修化により、短時間で完成でき、性別を問わない課題が望まれる傾向から、衣服ではなく小物を製作することが主流となった。現代の家庭科教育における被服製作の技能は、制作技能の習得ではなく、「持続可能な社会の構築」の観点から衣服のリメイク、補修をして有効活用する方向へ移行した。さらなる新しい視点として「協力・協働」の観点から、家族や地域・社会とつながる手段としてとらえられる可能性を見出した。