【目的】野菜の切砕方法の中でみじん切りの認知度は高く、現在ではみじん切りにする道具が多く販売されている。本研究では、包丁、みじん切り器、フードプロセッサー、チョッパーの4種の器具を用いて玉ねぎをみじん切りにし、豚の挽肉と混合して肉だねを作り、焼成後の物性測定および官能評価の結果を比較した。
【方法】材料は玉ねぎ、豚挽肉、食塩を用いた。玉ねぎは、包丁(牛刀)を用いて約4㎜角のみじん切り(対照)とし、フードプロセッサー(National、以下FPとする)およびチョッパー(K&A)も約4㎜角となるようにした。みじん切り器(Desirable、以下VCとする)は、この器具の最小サイズの6㎜角とした。豚挽肉に食塩1%を加え、手で10回捏ねた後、各種機器で切砕した玉ねぎのみじん切りを加えて30回捏ねて肉だねとした。12×14×2㎝角に成形し、230℃のオーブンで15分間焼成後、1時間室温で放冷し、テクスチャー測定(山電)、水分測定(A&D)、実体顕微鏡観察(島津製作所)および7段階評点法による官能評価を行った。
【結果】1)切砕時に離水した玉ねぎの水分はFP>チョッパー>VC>包丁の順となったが、焼成後の肉だねの水分には差がなかった。2)肉だねの硬さはVCが大となり、凝集性は包丁が有意に小となった。3)包丁、VCの玉ねぎは、実体顕微鏡観察の結果、立方体であることが確認されたのに対しFP、チョッパーの玉ねぎの形は不均一な多面体であった。4)官能評価ではVCで切砕した玉ねぎを用いた肉だねが飲み込みの良さがなく、嗜好では色以外の項目すべてで好まれなかった。これは、VCで切砕した玉ねぎはこの肉だねに対して大きいことが要因であると考えられた。
共著者:米山陽子, 三星沙織,江木伸子,梅國智子,近堂知子,平尾和子