木下伊規子、別部友紀乃、田村朝子
近年、特定給食施設では新調理システムの導入に伴い、スチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)の導入が進められてきた。そこで本研究では、スチコンを利用することが出来上がった料理の品質ならびに作業工程にどのような影響を及ぼすかを検討することを目的とした。調理方法として炒める、炊飯するから抽出した麻婆茄子、回鍋肉、カレーピラフの3品目を、スチコン調理と通常調理(回転釜、炊飯器)ともにそれぞれ40人分ずつ、2人の調理者で調製した。測定項目は破断測定、官能評価とし、破断測定はクリープメーター(RE2-3305B)で測定し、官能評価は健常女子大生を対象に形、色、食感、味のしみ込み、総合評価の項目について5段階評点法により評価を行った。結果は、破断応力が、通常調理に比べてスチコン調理が低値を示したのは、麻婆茄子のナス、カレーピラフの米であり、スチコン調理が高値を示したのは、回鍋肉の玉ねぎだった。官能評価では、スチコン調理が高値を示したのは、回鍋肉の形、色、食感、カレーピラフの色であり、通常調理が高値を示したのは、麻婆茄子の食感と味のしみ込み、回鍋肉の味のしみ込みであったものの、総合評価では有意差は認められなかった。作業管理では、麻婆茄子、回鍋肉において作業工程数が少なくなった。