査読あり。大学家政学部の歴史的変容について、創設以来の家政・家政系学部の名称変更と学科の変容をとらえ、その分化と派生過程を主として大学設置基準の文献、全国大学一覧に基づき分析した。戦後発足した家政学部は名称変更により、今やその数は半減し16大学になった。1990年代において、その名称は生活科学部、人間生活学部、生活環境学部などと変化する。その中心には食物栄養学科があり、この領域は学部名称が変わっても概ね学部の柱となっていた。なお、従来の被服学科は名称変更することによって細分化が生じ、家政学部でしかその総合性を見ることができない状態となっていた。食物系学科や児童系学科は、他の学部においてもその席があるが、被服系学科については、単科大学化の傾向が見られ、従来の家政学系学部とは様相を異にする。現在、家政学部の名称変更は過渡期を過ぎ、新たに現代家政学部などと、「家政」を付す学部名称の大学も現れてきた。家政の再ブランド化であるのか、分化・派生の一過程であるのか、家政という言葉とその総合性への世界が失われていないことも、今ある状況から見えてきた。