1991年の文部科学省による大学設置基準大綱化により、教員免許状の授与数が増加している幼稚園教諭を対象とした教員免許状講習の実態を捉え、その課題を提示することを目的とした。免許状更新講習の変遷を踏まえた上で、新講習が開始された2016年以後の講習の開設者及び開設学校種および取り扱い事項などについて、全国レベル及び関東地域における分析を行った。講習開設者は大学、短期大学、専門学校、教育委員会、法人など多様であるが、近年大学による講習が増加してきている。しかしながら幼稚園教諭のみを対象とする講習は限られており、講習が教育現場において還元されるものであると考えると問題がある。取り扱う内容も【学校をめぐる近年の動向】【様々な問題に対する組織的対応の必要性】【学校における危機管理上の課題】など、カリキュラムの問題よりも組織としての外部対応などへの内容が多く取り扱われていた。この内容が大学の講習として独自性があるものなのか、今後の講習の方向性を考えるよりどころとしたい。