保育者は日々の保育を振り返り、思いをめぐらす。またある一定時期を振り返り、文脈を辿り直そうとする。こうした保育者の精神作業および思考の総体を省察という。保育者の省察は、保育記録を書く作業と共になされるだけでなく、園内の保育を互いに検討しあう場における発表、様々な研修でも機会を得る。研究者と共に保育研究を行う場合には、語りという形で聴き手との相互作用で省察は深められる。本項では、子ども理解が深まり難い事例を対象に、省察を語ることによって保育者の内面が表現され、聴き手との相互作用が活性化することを明らかにした。