保育者が保育について研究者に語る行為を、保育行為の判断の根拠を検討する一連の営みに位置づけ、その意味を考究した。保育観察と語りの聴き取りから事例を構成し分析した結果、語りには次の二段階があることが見出された。まず保育者と聴き手の心的に並ぶ関係で、保育者が日々のとらえを想起し言語化する段階。この段階における「わかり合いたい」相互の指向が基盤となり、次の対面関係が実現する。対面関係では、両者の相互作用で保育の文脈が協働的に形成される。このことは、カンファレンス等における語りの場にも、並ぶ関係が重要であることを示している。
共同研究者:吉岡晶子