音楽史を扱う授業でも、音楽の鑑賞や解説だけではなく、文化的・社会的背景の中で音楽を捉えられるよう工夫している。日本音楽史(正派音楽院:2007年度~現在)では、外来楽器であった三味線が文化の発信源である劇場・遊里において中心的位置を占め、江戸文化を代表する楽器として多様な展開を遂げる実態を探る。音楽史B(金沢大学:2009年度~現在)では、「音楽」の概念、記譜法、伝承法、楽器、作品の題材などいくつかのトピックを、具体的な音楽ジャンルと結びつけながら取り上げ、日本の音楽文化の多様性に触れられるよう授業を構成している。それにより、音楽をとりまく事象や文化的背景を広い視野で捉え、文化の多様性に目を向ける契機となっていると考える。