その他の研究業績等に関する事項

基本情報

氏名 深津 佳世子
氏名(カナ) フカツ カヨコ
氏名(英語) Fukatsu Kayoko
所属 大学 家政
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

翻訳書、学会発表、講演、作品等の名称

グルコーストランスポーター発現による抗炎症効果が肺癌に及ぼす影響について

単・共の別

共著

発行又は発表の年月

2022/12

その他の分類

学会発表

発行所、発行雑誌等又は発表学会等の名称

第45回日本分子生物学会(幕張)

概要

岩井 桃子、中西 陽子、豊島 沙紀子、細井 美里、増田 しのぶ 、深津(佐々木) 佳世子
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<!--[endif]-->【目的】癌細胞は増殖のためにグルコーストランスポーター(GLUT)を過剰発現することが知られている。GLUTは、その種類によって機能が異なり、癌の悪性度や予後に関与することが報告されている。近年、GLUTを標的とした治療法開発も注目されている。本研究では、肺癌組織におけるGLUT発現の多様性と肺癌患者の予後の関係を、炎症との関係に着目して明らかにすることを目的とした。【方法】日本大学医学部附属板橋病院で肺癌と診断された手術適応のない患者のうち、十分な細胞数の癌細胞を確認できた101症例を対象とした。パラフィン切片からTotal RNAを抽出し、cDNAを合成後、リアルタイムRT-PCR法で1型GLUTのmRNA発現定量解析を行い、臨床病理学因子との関係について検討した。さらに、リアルタイムRT-PCR法で炎症関連遺伝子のmRNA発現定量解析を行い、GLUT発現と炎症関連遺伝子発現の関係について検討した。【結果】肺癌組織におけるGLUT発現は、組織型ごとに発現パターンが異なることが示された。GLUT発現パターンと肺癌患者の予後との関係について、カプラン・マイヤー生存解析を行った結果、GLUT3高発現群は、低発現群に比べて生存期間は短く、予後不良である傾向が示された。また、GLUT3単独陽性群、GLUT4単独陽性群、GLUT複数陽性群、陰性群について分析した結果、GLUT4単独陽性群は、GLUT3単独陽性群と複数陽性群よりも有意に生存期間が長くなることが示された。炎症関連遺伝子発現については、GLUT4単独陽性群はGLUT3単独陽性群およびGLUT3,4陽性群よりもTLR4とIL-8のmRNA発現量が高い傾向が示された。さらに組織型別に比較すると特に肺腺癌で顕著な傾向が見られた。【結語】進行期の肺癌組織におけるGLUT発現の多様性は患者の予後に関係し、特にGLUT3の過剰発現が予後不良因子となる可能性が示唆された。一方、GLUT4の発現は、TLR4とIL-8の発現抑制を介して抗炎症効果をもたらし、予後良好に関与している可能性が示された。患者毎の癌組織に発現するGLUTの違いを明らかにすることで、今後より効果的なGLUTを標的とした治療法の開発に寄与できる可能性がある。