[説明]
Berry(1983, 1984)による「文化変容モデル」を紹介し、その応用例であるNahavandi and Malekzadeh(1988)のモデルを批判的に検討しながら、M&A(企業の合併と買収)の研究に文化変容モデルを適用することの意義と課題について論じた。
「文化変容モデル」とは比較文化心理学の研究においてJ. W. Berryによって考案されたモデルであり、マイノリティがマジョリティと接触した際に、全体としてどのような社会構成になるかを簡便に示したものである。NahavandiとMalekzadehはこれがM&Aの成否の予想に用いることが可能であると主張している。
本稿の貢献は、Nahavandi & Malekzadeh (1988)が提示するモデルを詳細に検討し、文化変容モデルをM&A研究に導入する意義を見いだしつつ複数の欠点を指摘することで、文化変容モデルの精緻化へ道を開いた点である。