[説明]
ベストセラーとなった『もしドラ』の内容に対して、経営学的観点から批判的に検討した。
『もしドラ』は、日本の経営者に影響力のあるドラッカーの主要著書の内容を、高校生が実践してみるというフィクションであるが、ある著書の主張を柔軟に試行してみるというのは、研究者・学生問わず重要な姿勢である。また、『もしドラ』は多くの読者を得て一種の流行語にもなったが、流行に対して囚われない視点を持つというのも、研究者・学生にとって重要な姿勢である。
そこで本稿は、『もしドラ』がどのようにドラッカーの主張を理解し(フィクションの中で)実践させようとしているのかに注目し、主張の理解が適切か、主張の実践方法が適切かを検討した。この意義は、恐らく『もしドラ』に親和的な年代であろう大学生に対して、理論と実践のあり方や批判的検討といった事柄に関して理解を促す点にある。経済学的視点からの批判を軸にしながら、学生の教材的価値も持つよう配慮した。