今日,性別や人種など多様性(ダイバーシティ)を考慮することが社会において重要とされている。マーケティングの様々な場面においてもこれらは問題となっており,こうした考慮がない場合には戦略の見直しが必要になったり,企業のブランドイメージの低下につながる可能性がある。一方で,人々の多様性を確保しながらどのようにセグメンテーションやターゲティングを行うかは明らかではない。
本研究は,こうした問題に対処するために公平性に配慮しながらセグメンテーションを行い,結果として多様性を担保する方法を提案する。具体的にはこれまでの手法を拡張し,公平性配慮型機械学習(特にクラスタリング)を行ったのちに,様々な多様性を考慮したうえで利潤の計算をすることでセグメントの仕方を決定する手法を提案する。加えてデータを用いてこの手法を検証した。結果として,価格などが事前に与えられている状況で,セグメントの仕方や多様性の程度などを自動的に決定できることが明らかとなり,その有用性を確認することができた。本研究はマーケティングにおける多様性の配慮に対して新しいアプローチを与えるであろう。