「1950年代台湾の文化政策に関する一考察―脱植民地化との関連で―」
日本現代中国学会第55回全国学術大会(於:愛知大学)
本報告では、1945年に日本の統治を脱して中華民国の一省となった後も、台湾社会に残存する「日本」の影響が著しかった点に着目し、1950年代台湾の文化面での脱植民地化について論じた。「省籍矛盾」とよばれる本省人/外省人のエスニックな対立もあいまって、社会内部の差異が「日本」に見出され続けたことが、結果的に台湾人の自主的な脱植民地化を困難にしたばかりか、エスニックな隔絶を一層深刻化させた要因であった点を指摘した。