「台湾における「簡体字論争」―国民党の「未完の文字改革」とその行方―」
日本台湾学会『日本台湾学会報』
第6号
本論文では、中国大陸で1930年代に一度は公布・撤回され、国民党の遷台後の1950~60年代に二度の「簡体字論争」として展開をみたものの棚上げされて後に忘却されることとなった文字簡略化問題について考察した。簡体字は大衆的な支持にもかかわらず論争の末に不採用となったが、そこには日本式簡体字の払拭と祖国の簡体字をもって祖国文化を移植しようとした政府側の意図という台湾独自の文脈があったことについても明らかにした。