「台湾におけるアイデンティティ問題の系譜―文化的側面からの一考察―」
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科『アジア太平洋研究科論集』
第10号
本論文では、二・二八事件でのエスニシティーの政治化をめぐる衝突や、中華文化復興運動期における地方・方言文化の周辺化を経て、1970年代の郷土ブームと1987年の戒厳令解除に伴う民主化・自由化が台湾土着の文化復権運動を生じさせ、やがてそれが国民党政府自らの手によって進められることとなった変化に注目し、日本―中国―台湾へと変容を遂げた戦後台湾のアイデンティティの変遷を時系列で論じた。