「1950年代台湾における文化的脱植民地化と「日本」
日本現代中国学会『現代中国』
第81号
本論文では1945年に日本の統治を脱して中華民国の一省となった後も、台湾社会に残存する「日本」の影響が著しかった点に着目し、1950年代台湾の文化面での脱植民地化について論じた。「省籍矛盾」とよばれる本省人/外省人のエスニックな対立もあいまって、社会内部の差異が「日本」に見出され続けたことが、結果的に台湾人の自主的な脱植民地化を困難にしたばかりか、エスニックな隔絶を一層深刻化させた要因であった点を指摘した。