本研究の目的は,ある特別な配慮を要する子が,クラスの中で受け入れられ仲間関係を築いていったプロセスについて,聞き取り記録を通してその要因について探ることであった。その結果,関係性が変容するプロセスは,①配慮を要する子自身がクラスから離れていった状態が,②保育者が,その子が安心して過ごせるように配慮しつつ,一方で他児がその子に関心を持ち関わるきっかけが持てるようにも働きかけた結果,③本人が他児を友だちとして受け入れクラスで意欲的に友だちと過ごすに至るまでの3期に分けて捉えることができた。また,関係性が変容した要因として,本人の安心を第一に考える姿勢や,他児へ意図的に働きかけて関わりたいという気持ちを育むこと,本人に無理なくつながり合う機会を作ることなどが示唆された。(広瀬由紀・岩田美保)