本発表では、敬語の指導の準備として、尊敬語の「特別形」「お~なる」「(ら)れる」の敬意のレベルによる使い分け、および「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」の分類が、初級日本語教科書においてどのように扱われているかを報告した。対象とした教科書は、『みんなの日本語初級Ⅱ』、『げんきⅡ』、およびJapanese for Busy People Ⅲ である。本文会話、掲載例における「表現主体」「相手」「場の改まり・くだけ」について、どの段階の設定がされているかを記述した。その結果、尊敬語の使い分けは、対象教科書がそれぞれ異なる扱いをしていること、謙譲語のⅠおよびⅡの使い分けは、3冊すべてにおいて反映されていたことを報告した。